通貨ペアと価格変動の仕組み
FX取引の基本となる通貨ペアの知識と、価格が動くメカニズムを理解しましょう。
FX取引では、常に2つの異なる国の通貨を組み合わせて取引します。この通貨の組み合わせを「通貨ペア」と呼びます。 通貨ペアを理解することは、FX取引の第一歩です。
通貨ペアの見方
通貨ペアは、通常「基軸通貨(きじくつうか)/決済通貨(けっさいつうか)」の形式で表示されます。 例えば、最も有名な通貨ペアの一つである「USD/JPY」の場合:
- USD (米ドル) が基軸通貨
- JPY (日本円) が決済通貨
この表示は、「1米ドルが何日本円に相当するか」を示しています。例えば、USD/JPY = 110.50 であれば、「1米ドル = 110.50円」という意味です。 FX取引では、基軸通貨を売買する形で行われます。
- USD/JPYを「買う」ということは、米ドルを買い、日本円を売ることを意味します。
- USD/JPYを「売る」ということは、米ドルを売り、日本円を買うことを意味します。
主要通貨(メジャー通貨)
世界には多くの通貨がありますが、FX市場で特に取引量が多く、流動性が高い通貨を「主要通貨(メジャー通貨)」と呼びます。 これらの通貨が絡む通貨ペアは、一般的にスプレッドが狭く、取引しやすい傾向があります。
通貨コード | 通貨名 | 国・地域 | 特徴 |
---|---|---|---|
USD | 米ドル | アメリカ合衆国 | 世界の基軸通貨。取引量No.1。 |
EUR | ユーロ | ユーロ圏 | 第2の基軸通貨。取引量No.2。 |
JPY | 日本円 | 日本 | アジアの主要通貨。比較的低金利。 |
GBP | 英ポンド | イギリス | 値動きが大きい傾向がある。 |
AUD | 豪ドル | オーストラリア | 資源国通貨。商品価格に影響を受けやすい。 |
CAD | カナダドル | カナダ | 資源国通貨。原油価格と相関しやすい。 |
CHF | スイスフラン | スイス | 安全資産とされることがある。 |
NZD | NZドル | ニュージーランド | 豪ドルと似た動きをすることが多い。 |
主要な通貨ペアの種類
- ドルストレート: 米ドルが絡む通貨ペア(例: EUR/USD, USD/JPY, GBP/USD, AUD/USD)。取引量が最も多く、情報も得やすい。
- クロス円: 日本円が絡むが米ドルを含まない通貨ペア(例: EUR/JPY, GBP/JPY, AUD/JPY)。日本人トレーダーに人気。
- その他のクロスカレンシー: 米ドルも日本円も含まない通貨ペア(例: EUR/GBP, AUD/NZD)。
為替レートの価格変動要因
為替レートは、様々な要因によって常に変動しています。主な変動要因を理解することは、相場分析の基本です。
- 金利差: 各国の政策金利の差は、通貨の魅力を左右する大きな要因です。一般的に、金利が高い国の通貨は買われやすく、金利が低い国の通貨は売られやすくなります(スワップポイントも影響)。
- 経済指標: GDP(国内総生産)、雇用統計、消費者物価指数(CPI)、小売売上高など、各国の経済状況を示す指標の発表は、為替レートに大きな影響を与えます。経済指標カレンダーで確認しましょう。
- 金融政策: 各国の中央銀行(例: FRB、ECB、日銀)が行う金融政策(金利の上げ下げ、量的緩和など)は、通貨供給量や市場の期待に影響し、為替レートを動かします。
- 貿易収支: 国の輸出入のバランスを示す貿易収支も重要です。輸出が多い(黒字)国の通貨は買われやすく、輸入が多い(赤字)国の通貨は売られやすくなる傾向があります。
- 政治情勢・地政学的リスク: 選挙、政権交代、紛争、テロなどの政治的な出来事や地政学的な緊張は、市場の不確実性を高め、特定の通貨の価値を大きく変動させることがあります。
- 市場心理・投機筋の動向: 大口の投資家や投機筋の売買動向、市場参加者全体のセンチメント(楽観/悲観)も、短期的な価格変動に影響を与えます。
- 天災・自然災害: 大規模な地震やハリケーンなどの自然災害は、その国の経済に打撃を与え、通貨価値を下げる要因となることがあります。
ポイント:
これらの要因は複雑に絡み合って為替レートを形成します。一つの要因だけでなく、複数の情報を総合的に分析することが重要です。ファンダメンタルズ分析について詳しくはこちら。
通貨ペアと価格変動の基本について理解を深められましたか?
次へ: リスク管理とポジションサイジングを学ぶ