MT4/MT5でのチャート分析とインジケーター活用法

テクニカル分析の強力な味方、チャートとインジケーターを使いこなしましょう。

MetaTrader 4 (MT4) および MetaTrader 5 (MT5) は、高度なチャート機能と豊富なテクニカルインジケーターを備えており、トレーダーが市場分析を行う上で非常に強力なツールとなります。 ここでは、基本的なチャート操作と、代表的なインジケーターの表示方法や使い方について解説します。

MT4/MT5のチャート分析画面イメージ
多彩な分析ツールで市場を読み解きます。

基本的なチャート操作

  • チャートの表示: 「気配値表示」ウィンドウで通貨ペアを右クリックし、「チャート表示」を選択するか、ツールバーの「新規チャートの作成」ボタンから通貨ペアを選びます。
  • チャートの種類変更: チャート上部のツールバーには、バーチャート、ローソク足チャート、ラインチャートを切り替えるボタンがあります。一般的にはローソク足チャートが最も情報量が多く、広く使われています。
  • 時間足の変更: ツールバーの「M1 (1分足)」「M5 (5分足)」「H1 (1時間足)」「D1 (日足)」などのボタンで、分析したい時間軸のチャートに切り替えられます。MT5ではより多くの時間足が利用可能です。
  • ズームイン/ズームアウト: ツールバーの虫眼鏡アイコン(+/-)や、キーボードの「+」「-」キーでチャートの拡大・縮小が可能です。
  • 自動スクロールとチャート移動: ツールバーの「チャートの右端をシフト」ボタンや「最新の足でチャートを自動スクロール」ボタンで、チャートの表示方法を調整できます。自動スクロールをオフにすると、過去のチャートを自由にスクロールして確認できます。
  • 描画ツール: 「挿入」メニュー → 「オブジェクト」またはツールバーから、トレンドライン、水平線、フィボナッチリトレースメントなどの描画ツールを選択し、チャート上に直接描画できます。

主要な標準インジケーターとその活用法

MT4/MT5には、多数のテクニカルインジケーターが標準で搭載されています。「挿入」メニュー → 「インディケータ」から選択し、チャートに追加できます。 インジケーター追加時には、期間などのパラメータ設定が可能です。

移動平均線 (Moving Average / MA)

一定期間の価格の平均値を線で結んだもので、トレンドの方向性や強さ、サポート・レジスタンスの目安として利用されます。

  • 種類: 単純移動平均線 (SMA)、指数平滑移動平均線 (EMA)、加重移動平均線 (WMA) などがあります。EMAは直近の価格に比重を置くため、価格変動への反応が早いとされます。
  • 活用法:
    • ゴールデンクロス(短期MAが長期MAを上抜ける)→ 買いシグナル
    • デッドクロス(短期MAが長期MAを下抜ける)→ 売りシグナル
    • MAの傾きでトレンド方向を判断。MAがサポートやレジスタンスとして機能することも。

MACD (Moving Average Convergence Divergence)

2本の移動平均線(短期EMAと長期EMA)の差(MACDライン)と、そのMACDラインの移動平均線(シグナルライン)を用いて、トレンドの転換点や勢いを判断するオシレーター系インジケーターです。ヒストグラムも表示されます。

  • 活用法:
    • MACDラインがシグナルラインを上抜ける → 買いシグナル
    • MACDラインがシグナルラインを下抜ける → 売りシグナル
    • ゼロラインより上で推移 → 上昇トレンド、下で推移 → 下降トレンド
    • ダイバージェンス(価格とMACDの逆行現象)→ トレンド転換の示唆

RSI (Relative Strength Index / 相対力指数)

一定期間の価格変動幅のうち、上昇変動幅がどれくらいの割合を占めるかを示し、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を判断するオシレーター系インジケーターです。0%から100%の範囲で推移します。

  • 活用法:
    • 一般的に70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断。
    • 買われすぎゾーンから下抜け → 売りシグナル
    • 売られすぎゾーンから上抜け → 買いシグナル
    • ダイバージェンスも重要なサイン。

ボリンジャーバンド (Bollinger Bands)

移動平均線とその上下に標準偏差(シグマ)のラインを引いたもので、価格がどの程度の確率でバンド内に収まるかを示します。トレンドの方向性やボラティリティ(価格変動の大きさ)を視覚的に捉えるのに役立ちます。

  • 活用法:
    • バンドの幅が拡大 → ボラティリティ上昇(トレンド発生の可能性)
    • バンドの幅が収縮(スクイーズ)→ ボラティリティ低下(次の大きな動きへの準備期間)
    • 価格が±2σラインにタッチ → 逆張りの目安(レンジ相場時)、トレンド発生時は順張りの目安。
    • バンドウォーク(価格がバンドに沿って動く)→ 強いトレンドの継続。

フィボナッチリトレースメント (Fibonacci Retracement)

フィボナッチ数列に基づいた比率(23.6%, 38.2%, 50.0%, 61.8%, 78.6%など)を使って、トレンド発生後の一時的な押し目や戻りの目安となる価格水準を予測するツールです。「挿入」メニュー → 「フィボナッチ」から選択し、トレンドの起点と終点を結んで描画します。

  • 活用法:
    • 上昇トレンド中の押し目買いの目安。
    • 下降トレンド中の戻り売りの目安。
    • 他のサポート・レジスタンスラインやインジケーターと組み合わせることで精度向上。

インジケーターの注意点:

インジケーターはあくまで過去の価格データに基づいて計算されるものであり、将来の価格を保証するものではありません。また、単一のインジケーターに頼るのではなく、複数のインジケーターや分析手法を組み合わせて総合的に判断することが重要です。「だまし」と呼ばれる誤ったシグナルも発生するため、リスク管理を徹底しましょう。

カスタムインジケーターの導入

MT4/MT5では、標準搭載されていない独自のインジケーター(カスタムインジケーター)を導入して利用することも可能です。 インターネット上には無料または有料で多くのカスタムインジケーターが公開されています。 当サイトでも無料インジケーターを配布しています。

一般的な導入手順(MT4の場合):

  1. カスタムインジケーターファイル(.mq4 または .ex4 形式)を入手します。
  2. MT4を起動し、「ファイル」メニュー → 「データフォルダを開く」を選択します。
  3. 開いたフォルダ内の「MQL4」フォルダ → 「Indicators」フォルダに、入手したインジケーターファイルをコピー&ペーストします。
  4. MT4の「ナビゲーター」ウィンドウ(表示されていない場合は「表示」メニュー → 「ナビゲータ」)内の「罫線分析ツール」または「インディケータ」の項目を右クリックし、「更新」を選択します。
  5. 更新後、リストに新しいインジケーターが表示されれば、ドラッグ&ドロップまたはダブルクリックでチャートに追加できます。

MT5の場合は、「MQL4」が「MQL5」に置き換わるなど、フォルダ名が若干異なりますが、基本的な手順は同様です。


MT4/MT5でのチャート分析とインジケーターの基本をご理解いただけましたか?

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