MT5ベータ版ビルド1700がリリース
不人気でMT4からの移行がなかなか進んでいないMT5ですが、ベータ版ビルド1700(MetaTrader5 build1700)が12月6日にリリースされました。ベータ版なのでユーザーによるテスト用でバグ報告や使い勝手の評価を期待したバージョンなのですが、MT5の最終ビルド版の機能をいち早く試したい人には魅力的なベータバージョンかもしれません。
MetaTrader 5 プラットフォームベータ版ビルド1700を利用するためには接続サーバーを「access.metatrader5.com server:443」にする必要があります。このサーバーはMT5の一般向けのMetaQuotes-Demoサーバーで、接続することにより新しいベータ版に更新されることになります。
再起動するとMT5 build1700 になっています。
この更新に伴い古い端末へのサポートが終了するようですね。
・クライアント端末:730(2012年9月23日)以前のバージョン
・iPhone用モバイル端末:1171(2015年11月11日)以前のバージョン
・Android用モバイル端末:1334(2016年8月5日)以前のバージョン
これらのバージョンは正直言ってかなり古いので影響を受ける人は少ないのではないかと思います。これらの古い端末を使っていると新しいバージョンには更新できないので、事前に更新しておく必要があるでしょう。
MetaTrader 5 プラットフォームベータ版ビルド1700の気になる機能
ベータ版ビルド1700で追加された新機能は以下のとおりとなります。主に開発者向けの機能の充実が中心なので、トレーダーにとっては全バージョンとの違いを意識する場面は少ないかもしれないですね。
ターミナルで合成金融商品の作成が出来るようになったのでドルインデックス(USDX)を示す製品の作成などが可能になったということには興味をそそられますね。
では以下に新機能を羅列していきます。
MetaEditorでフル機能のプロジェクトを利用できるようになりました。プログラム開発プロセスがより便利になりました。
ターミナル:取引プラットフォームで合成金融商品(1つまたは複数の既存の商品に基づく銘柄)を作成することができるようになりました。クオーツを計算するための式を設定する必要があります。その後、プラットフォームは実時間で合成製品のティックを生成し、分履歴も作成します。
ターミナル:新しいオプションが導入され、実時間でカスタム製品のクオーツを追加できます。指定したカスタム銘柄のクオーツを提供するMQL5エキスパートアドバイザーを開発することが可能になりました。これにはCustomTicksAdd関数が使用されます。
MQL5:新しいオンラインサービスMQL5クラウドプロテクターがMQL5プログラムの追加保護を提供するために追加されました。保護は、売り手によって提出されたEX5製品ファイルがネイティブコードにさらにコンパイルされるという、最大規模の取引アプリケーションストア MetaTraderマーケットで使用されるオプションと同様です。
ターミナル:[気配値表示]ウィンドウに、高値と安値が追加されました。これらの列はデフォルトで非表示になっていて、コンテキストメニューを使用して有効にすることができます。
ターミナル:カスタム金融商品のティック履歴を編集することができるようになりました。[気配値表示]のコンテキストメニューで[Symbols](銘柄)をクリックし、カスタム銘柄を選択し、[ティック]タブで必要なデータ間隔を要求します
ターミナル:[Quotes](クオーツ)ウィンドウに時間のミリ秒表示を追加しました。
ターミナル:新規アカウントをを開くダイアログで利用可能なサーバーをスキャンする速度が向上しました。
ターミナル:Ray LeftおよびRay Rightオプションが有効になっているときのトレンドライングラフィックスオブジェクトの表示を修正しました。
ターミナル:大量(数十万)の内部電子メールを伴う操作を最適化しました。
ターミナル:多数(5万以上)の取引商品を伴うターミナル操作を最適化しました。
MQL5:カスタム金融製品を使うための新しい関数を追加しました。
MQL5:unionデータ型テンプレートのサポートを追加しました。
MQL5:SYMBOL_VISIBLE取引製品プロパティを追加しました。
SymbolInfoInteger(symbol, SYMBOL_VISIBLE) の呼び出しは、指定された銘柄が[気配値表示]に表示されない場合にfalseを返します。
MQL5:新しい CHARTEVENT_MOUSE_WHEELプロパティを追加しました。このイベントは、チャート上でマウスホイールがスクロールまたは押されると呼び出されます(チャートの CHART_EVENT_MOUSE_WHEEL=trueの場合)。
MQL5:下記のチャートプロパティを追加しました。
- CHART_EVENT_MOUSE_WHEEL — CHART_EVENT_MOUSE_WHEEL(マウスのスクロールとチャートのクリックイベント)の生成を有効/無効にします(可能な値は0と1)。
- CHART_CROSSHAIR_TOOL — 中クリックでカーソルを十字線モードに切り替える機能を有効/無効にします(可能な値は0と1)。
- CHART_CONTEXT_MENU — チャートのコンテキストメニューを表示するための右クリックの使用を有効または無効にします(可能な値は0と1)。
MQL5: DRAW_NONEスタイルの描画バッファは、指標ウィンドウのスケールを計算する際には考慮されないようになりました。
MQL5:チャートのCHART_SCALEFIX(固定スケール)プロパティを設定するときのCHARTEVENT_CHART_CHANGEイベント生成を追加しました。
MQL5: ArraySwap関数を追加し、動的配列の内容をすばやく交換することができるようにしました。
シグナル:シグナルに従って開かれたポジションの強制決済の場合の注文タイプの表示を修正しました。シグナルのコピーオプションに[Stop if the account is lower than XXX USD](アカウントがXXX USDより低い場合は停止する)オプションを用意しました。エクイティが特定のレベルを下回ると、取引シグナルのコピーが自動的に終了し、すべてのポジションが決済されます。以前は、強制決済の場合にポジションを決済する注文に対して誤ったタイプが設定されていました。ターミナルは、銘柄設定において許容されるタイプを確認し、適切なオプションを指示するようになりました。
テスター:ストラテジーテスターのHistoryOrderSelect関数の動作がクライアント端末の同じ関数に対応するようになりました。
テスター:ストラテジーテスターのCopyTicks関数とCopyTicksRange関数の動作がクライアント端末の同じ関数に対応するようになりました。
テスター:視覚テスト中のグラフィックオブジェクトの表示を最適化しました。
テスター:テスト結果の表示(為替リスク管理モデル)を修正しました。現在、チャートにはエクイティのみが表示されていて、残高と預金額は表示されていません。そのような口座の取引状況は、エクイティレベルに基づいて評価されます。残高は口座にある金額のみを表示し、トレーダーの資産および負債は無視します。為替計算モードでは証拠金は資産/負債の現在の割引価格と等しく、資本とともに変化するため、預金積み増し(証拠金/エクイティ)は表示されません。
MetaEditor:プロパティとリソースをプログラムコードに簡単に挿入する機能が追加されました。たとえば、インクルードされたファイルをコードにすばやく追加することができます。”Insert—MQH as #incude”コマンドを使用して、所望されたインクルードファイルを選択します。選択したファイルへの正しいパスを含む#include指令がプログラムコードに挿入されます。
MetaEditor:ASCII、HEX、およびBase64形式の間で文字列を変換するためのオプションを追加しました。ソースコード内の行を選択し、[編集 – 変換]メニューで目的のコマンドをクリックします。
MetaEditor:ファイル内の大文字と小文字を区別しない検索を修正しました。
MetaEditor:x.y[0][1].zと似た式を計算するときに発生する可能性のあるデバッガエラーを修正しました。
MetaEditor:進むボタンと戻るボタンを使用したコードナビゲーションを修正しました。
ユーザインターフェイスがオランダ語でも利用できるようになりました。
ドキュメントを更新しました。
MQL5クラウドプロテクター
新しいオンラインサービスMQL5クラウドプロテクターがMQL5プログラムの追加保護を提供するために追加されました。保護は、売り手によって提出されたEX5製品ファイルがネイティブコードにさらにコンパイルされるという、最大規模の取引アプリケーションストア MetaTraderマーケットで使用されるオプションと同様です。
これは朗報かもしれないですね。現在MQL5.comにあるMetaTraderマーケットではEAを販売しているのですが、このEAは通常のEA販売サイトようにex4ファイルやex5ファイルで配布しているわけではありません。非常に優れた保護システムを採用することでex4、ex5を保護しているわけなのです。
この技術がすべてのプラットフォームユーザーで利用できるようになりました。
具体的にどのような技術なのかはこれから調べてみたいと思いますが、なかなか興味深い機能ですね。
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