ボイジャーX JPYはどんなEAか
今回は長期のフォワードテストで好成績を残しているボイジャーX JPYを取り上げてきたいと思います。
「ボイジャーX JPY」は、中長期的な視点から右肩上がりの収益を実現するよう設計したデイトレ型EAです。
EAの詳細ページを見ると「ボイジャーX JPY」は中長期的な視点から右肩上がりを目指すと書かれています。開発者はこの言葉を「成績は長い目で見て判断してね!」という意味で使用しているのではないかと思います。
実は開発者がこのようなことをいうEAの多くは勝率が悪い傾向にあります(笑)
長期のバックテストの収益曲線がきれいな上昇カーブを描いているEAは一見すると負けが少ないように見えますよね。
ボイジャーX JPYの収益曲線も以下のようなきれいなカーブを描いているのでそんなに負けていないように見えます。
しかし、勝率を見ると53.49%とそれほど高くない数値になっており、2回トレードすると1回は負けを覚悟しなくてはならないEAだということがわかります。
負けを許容しつつも長い目で見れば右肩上がりになるEAを目指しているのだからこの程度の勝率の悪さは気にするなよということなのでしょう。
とはいうものの経験上長期間通用するEAは適度に負けるものが多いので、このようなロジックは個人的には大好物です。
対円の3通貨ペア(ドル円、ユーロ円、ポンド円)でご利用いただけます。
そして気になるのはドル円、ユーロ円、ポンド円の3通貨ペア対応という部分です。
円がらみの通貨ペアだから一つのロジックで対応するのは簡単でしょ?と思うかもしれませんが実際にテストしてみるとそう簡単にはいかないことはEA開発者の皆様なら経験済みだと思います。
3通貨ペアに共通する動きの癖のようなものを見つけたのでしょうか、個人的にすごく羨ましいです(笑)
3通貨ペアのバックテストを比較してみるとドル円の成績が最も安定しています。ユーロ円は2018年の伸び悩み、ポンド円は2018年後半の落ち込み&バックテスト時のスプレッドが気になります。
しかし優等生のドル円に比べるとボラティリティが高い時の爆発力に魅力を感じます。総合的に判断すると3通貨ペアの組み合わせがベストだっということでしょう。
ロジックの設計は、金融取引の第一線で活躍する資産運用のプロ(ファンドマネージャー、ディーラー)と協働で行いました。プロの取引手法を取り入れた実践的なロジックを実装しています。
こちらの部分を読む限り奇をてらった手法ではなく、ごくありふれていながらも安定感のあるロジックを取り入れているのではないかなと感じさせます。もっとも勝手に感じているだけなので、実際はものすごくエッジのきいた手法を採用している可能性もありますが(^^;
ボイジャーX JPYのバックテスト結果を分析
それではボイジャーX JPYのバックテスト結果を分析していきましょう。
約10年間のバックテストでトレード回数は2578回なので1時間足ベースのEAとしてはかなり多いのではないかと思います。
前述したように勝率は53.34%とけして高くはありませんが、RETURN/DD RATIOが17.2と高い数字となっています。EAの評価は人それぞれ違うと思いますが、この数字が低いEAは個人的には好みではありません。ボイジャーX JPYの17.2という数字は私のハートをがっちりと掴みました(笑)
トレード回数の多さを考えるとTOTAL PROFITが4017ドルというのはちょっと不満です。
本当にそんなに少ないの??
おかしいなと思いpips換算で表示してみるとなんと12,303.9pipsも獲得しています。ということはつまりロットを操作しているということですよね。
EQUITY CHARTをチェックしてみましょう。
う~ん、綺麗な右肩上がり♡
いや、そうじゃなかった(笑)
下の方にあるVolumeに注目してみてください。グラデーションのようになっているのがわかると思います。
ちょっと見ずらいので拡大してみましょう。
このグラデーションを見る限りこのEAには3種類のロットが使われているようです。トレード結果のリストを見ると0.1、0.05、0.02の3種類の数量を使用しているのがわかります。
え?このEAはマーチンゲールなの?
ロット操作と聞くとそう思う人も多いと思いますがご安心ください、マーチンゲール手法ではありません。
EAの解説ページを読むとちゃんと書いてありました(^^;
相場の状況に応じて部分決済を行うということなのですね。
もしかすると前述したプロの取引手法を取り入れたという記述は部分決済のことなのかもしれませんね。
年ごとの成績を見ると2012年が突出して好成績です。この年はボラティリティは低かったので低ボラを苦にしないということなのでしょう。最近の相場にぴったりのロジックになっているのではないかと期待が膨らみます。
高ボラにも低ボラにも強いという特性は2つのロジックを組み合わせていることが大きく寄与しているのでしょうね。
ポジション保有期間を見るとほとんどのトレードが16時間以内に完了しています。勝負の速いEAは精神的に楽ですね。
ボイジャーX JPYのロジックについて
このEAには2つのロジックが搭載されています。
EAの詳細ページには具体的な取引の例が公開されていますのでぜひご参照ください。
下の画像はボリンジャーバンドブレイクアウトによる順張りトレードの例です。
バンドブレイク時にエントリーし、ボリンジャーバンドのセンターライン付近でクローズするという理想的なトレードが決まった瞬間です(笑)
こんなに綺麗に決まることはそうはないと思いますが、会心のトレードが決まった時にはこのように大きな利益を獲得することが出来ます。
しかしレンジ相場では偽のブレイクアウトに騙されて下の画像のようなトレードに悩まされるはずです。
このレンジ相場での騙しの損失を補ってくれる存在が逆張りロジックです。
逆張りロジックなのでトレンド発生時には弱いのですが、綺麗なトレンドが発生する機会なんてそんんなに多くあるわけではありません。平常時はこの逆張りロジックが順張りの失敗トレードの尻拭いをしてくれるはずです。
組み合わせの妙
ボイジャーX JPYは非常にまじめに作られたEAだと思います。部分決済を採用すること自体は容易いのかもしれませんが実運用に耐えるようなセッティングをするためには相当な労力を要したはずです。
もちろん基本ロジックがしっかりとしていないといくら部分決済を採用したところで意味がないことは言うまでもありません。
トレンド&レンジ相場の双方に対応するために順張り&逆張りの2つのロジックを採用したことは長期安定運用のためには欠かすことのできない要素です。ブレイクアウト手法はレンジ相場でのドローダウンを気にしなければ右肩上がりになりやすい手法ですが、実運用するためにはどうしてもドローダウンの穴を埋める必要があります。
そのための穴埋めの手法をきっちりと作ることこそが開発時の最大の難関だったと思いますが、開発者の苦労をまったく感じさせないほどきれいに穴埋めが出来ています。
二つの異なるロジックを組み合わせて一つの完成したEAにすることがどれだけ大変なのかはEAを作っている人ならきっとわかるのではないかと思います。
他通貨ペア対応とも相まってボイジャーX JPYはフォワード期間中も2回に1回は負けながらも右肩上がりのパフォーマンスを維持し続けています。
自分もいつかはこのようなEAが作れたらいいなあ(^^;
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