ストップロス20pipsを実現する正確なエントリーで利益を積み上げるスキャルピングEA「刻」

fx−on
Free-Photos / Pixabay

ストップロスの数値が小さいEAはエントリーに自信あり

以前紹介した飛龍乗雲というEAはなんとストップロスが20pipsというアグレッシブな設定で度肝を抜かれたのですが、攻めのストップロスを採用しているEAは他にも存在していました。

ドル円5分足のスキャルピングスタイルを採用したというという和のテイスト感満載の「」というEAです。

刻→刻む

刻むを辞書で調べると「 細かく区切るようにして継続・進行していく」とあるのでスキャルピングEAのネーミングとしてなかなかセンスいいなと感心してしまいました。あえて漢字を使うことでドル円をトレードするEAだということも伝わるので秀逸なEA名といってもいいでしょう。

このネーミングセンスをパクり「皮むき」という名前のスキャルピングEAを作ってゴゴジャンに出品しようと目論んでいます(笑)

冗談はさておき、簡単に言うとドル円5分足のスキャルピングEAでタイトなストップロスを採用したEAということですね。

ストップロス20pipsと簡単に言っているわけですが、実は浅いストップロスのスキャルピングEAで勝ち続けるのは非常に困難なことなのです。好成績を残しているスキャルピングEAの中でも浅いストップロスで成功しているEAはあまり見かけません。

スキャルピングEAをバックテストしたことがある人ならわかると思いますが、ストップロスを浅くすればするほど勝率が下がっていき右肩下がりの収益曲線を描くようになります。しかもキレイな右肩下がり(笑)

この原因の一つとしてエントリーポイントの精度の低さが挙げられると思います。ストップロスを深くすることである程度はごまかせるのですが、ストップロスを浅くしてしまうとエントリー精度の優劣がはっきり出てしまうということなのです。

最終的に勝てれば深かろうが浅かろうがどちらでも良いのですが、浅いストップロスでも通用するEAはストップロスを深くすることでさらなるパフォーマンスアップも期待できます。秘めたるポテンシャルを持っている能ある鷹的なヤツなのです(笑)

というわけで個人的に浅いストップロスのスキャルピングEAは大好物なのです。

刻のバックテストを解析してみよう

刻のバックテストを見るとよく見かける高勝率のスキャルピングEAとは違った収益曲線を描いています。刻の勝率は70%台前半なのでスキャルピングEAとして見るとそれほど高勝率というわけではありません。この勝率の低さが収益曲線に影響しているのでしょう。

刻が70%台の勝率にとどまっている最大の原因は20pipsのストップロスだと思います。これだけ浅いとレートのちょっとしたブレでストップアウトしてしまう可能性が出てしまうのです。

しかし冷静に考えると負けたとしても20pipsに過ぎないのです。私は負けたという事実よりもどのようにして負けたのかを気にするタイプなので、このストップロスで勝率70%台だったら十分に許容範囲内です。

ではさっそく収益曲線から見ていくことにしましょう!

ある程度予想はしていましたがリーマンショックのように極端にボラティリティの高い相場では負けが続いてしまうようです。ストップロスが20pipsですからエントリーした瞬間にストップロスにかかっていたなんて場面も多かったことでしょう。ボラティリティの上限を決めてあまりにも高い場合はEAを止めてしまうという判断も必要になってくるのかもしれません。

一方で極端にボラティリティが低い相場の時には成績も横ばい状態になる傾向があるようです。右肩下がりになるのではなく横ばい状態で耐え忍ぶというところに和のテイストを感じてしまいますね。

まずはトレード結果の概要です。

まず目につくのが総トレード数です。検証期間11年間でのトレード回数が6305回ということなので、年平均で約573回程度のトレード数は確保しています。シングルポジションのEAとしては十分なトレード回数ではないでしょうか。

最大ドローダウンの428.1pipsという数字はリーマンショック時の数値で、それ以降は400pips以内に収まっているので十分に低ドローダウンのEAだと思います。リスクリターン率は9.15とわずかに10には届かなかったものの立派な数字です。

それでは年ごとの成績を見てみましょう。

2011年、2014年がマイナスになっていますが、-57.6pips、-38.1pipsと大きな損失ではありません。むしろ気になるのが2018年の成績でしょうか。

ドル円のボラティリティの低下が影響していると思われますが、それでもマイナスになっていないところはさすがです。ボラテリティが上昇してくれば成績も回復してくるのではないかと予想しています。

続いて時間ごとのトレード状況です。

全ての時間帯でトレードしているようなのでタイムフィルターはかけていないようです。フルタイム型のスキャルピングシステムゆえにトレード回数も多いのでしょう。

続いてポジション保有時間を見ていきます。

なんと驚くべきことにすべてのトレードが1時間以内に完了しています。こんなEA初めて見ました(@_@)

トレードに30分以上かかってしまうとどんどん旗色が悪くなっていくようです。超短期決戦型のロジック、このEAこそザ・スキャルピングEAと名乗っても許されるのではないかと思います(笑)

ざっと主要な項目を見てきましたがかなり特徴的で面白いEAなのでロジックが非常に気になります。20pipsのストップロスを支えるエントリーロジックが優秀だからこそこれだけのパフォーマンスを発揮できるのでしょう。

そして短期で勝負をつけるクローズロジックの存在も忘れてはいけません。良い位置でエントリーできれば早めに利確して利益を出し、エントリー位置が悪い時でも素直に失敗を認めて早々と撤退するというロジックなのでしょうが、見事に機能しているように感じます。

フォワードテストはどう?

「刻」は2019年5月26日からフォワードテストを開始したばかりなのでまだそれほど実績があるわけではありません。しかし1ヵ月弱のフォワードテストの中でもバックテストで感じたとおりの実力を発揮しているようです。

バックテストで驚愕したポジション保有期間ですが、フォワードテストでも相変わらず早めに決着をつけています。

ちょっと気になったのが「ストラテジーについて」の表中で最大ストップロス20pipsと書いてあるのですがフォワードテスト、バックテストともにストップロスが入っていないことです。

例えばフォワードテストの結果を見るとストップの欄が空欄になっています。

バックテスト結果を見ても同様です。

気になったので獲得pipsを小さい順にソートしてみたら20pips以上のマイナストレードがけっこうあるようです。

恐らくステルスモードのストップロスを使っているのではないかと思います。バーチャルストップロス、すなわちEA内部に仮想のストップロスを置いているということなのでしょう。

私も7~8年前にスキャルピングEAでトレードしていた時にブローカー対策として使っていましたが、おそらく同じ理由で内部ロジックにより損切りしているということなのだと思います。

バーチャルストップロスを使用する場合は少し離れたところに逆指値注文を出しておく方が安全かもしれませんね。

またバックテストのスプレッドは0.3pipsなのでブローカー選びがパフォーマンスに大きく影響を及ぼす可能性があります。こういうEAにはあの敷居の高いサクソバンク証券のMT4が向いているのかもしれませんね。よほど大きなサイズでトレードしないと恩恵に預かれませんが(^^;)

コメント

タイトルとURLをコピーしました