MT4専用の自動売買EAと聞いて、どんなイメージを持ちましたか? 自動売買で手間がかからず、堅実に利益を上げられるツールだと期待している人も多いでしょう。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、MT4専用の自動売買EAである「Seven Elements」をレビューします。この商品は7つの異なるロジックを組み合わせた複合型EAで、開発者曰く「あらゆる相場で安定収支を狙える」とのこと。一体どんな実力なのか、プロとしての見解を添えてお伝えしていきます。
このEAについて
- EA名: Seven Elements
- 出品者: まさやん
- 販売開始日: 2024年2月20日
- 利用者数: 2名
- 運用可能会社: FOREX.com、デューカスコピー・ジャパン、楽天証券、FXTFなど
- 価格(税込): 61,600円(2024年5月現在の限定価格)
Seven Elementsは、MT4のメタトレーダー4専用の自動売買システム(EA)です。7つの異なる手法(エレメント)のロジックを組み合わせた複合型EAで、それぞれのロジックに重要度をつけて柔軟に運用できるのが最大の特徴です。主要な通貨ペアに対応しており、複数のポジションを同時に保有できます。導入しやすい価格帯とリアル口座での成績から人気のEAと言えるでしょう。
EAの説明
Seven Elementsは、ドル円の5分足チャートに対応したMT4専用EAです。最大の特徴は、7つの異なるロジックを1つのEAに搭載している点です。ロングとショートそれぞれのロジックを組み合わせることで、様々な相場環境で対応可能なトレードを実現しています。
搭載されているロジックは、以下の通り7つです。
- 順張り型: PerfectOrder、GoldenCross、Magical Trend、Fast Scalping EA
- 逆張り型: PriceActionTrading、MorningReversal、TokyoTrend
それぞれのロジックには重要度を設定でき、最大で3ポジションを同時に保有します。トレンド相場ではロング寄りのロジックに重きを置き、レンジ相場では逆張りロジックに切り替えるなど、柔軟な運用が可能です。初期設定はドル円に最適化されていますが、設定変更でクロス円全般にも対応可能とのことです。
ストラテジーについて
- 通貨ペア: ドル円、ポンド円
- 取引スタイル: スキャルピング、デイトレーディング、可変型
- 最大ポジション数: 3
- 運用タイプ: 自動売買
- 最大ロット数: 0.3Lot(3万通貨)
- 使用時間足: 5分足
- 最大ストップロス: 400pips
- テイクプロフィット: 500pips
- 両建て: あり
- その他ファイル: なし
- 特記事項: なし
Seven Elementsは、ドル円とポンド円に対応した自動売買EAです。スキャルピングからデイトレーディングまで幅広い取引スタイルに対応し、ロット数は最大0.3Lotと控えめな設定です。ストップロスは400pips、利確は500pipsとゆとりを持たせています。両建てのポジションを持つこともあり、最大で3つまで同時にポジションを保有できます。
バックテスト結果
- ストラテジーテスターレポート名: SevenElements_USDJPY_2.01
- 通貨ペア: ドル円(USDJPY)
- 期間: 2007年1月2日 – 2023年12月29日
- テストバー数: 1,268,443バー
- 初期証拠金: 10,000円
- 純益: 122,892円
- 総利益: 693,300円
- 総損失: 570,408円
- プロフィットファクター: 1.22
- 期待値: 9.44円
- 最大ドローダウン: 15,458円(18.48%)
- 総取引数: 13,018回
- 売りポジション勝率: 37.54%
- 買いポジション勝率: 39.17%
- 勝率: 38.35%
- 最大勝トレード: 2,035円
- 最大敗トレード: -1,192円
- 最大連勝金額: 3,632円(23勝)
- 最大連敗金額: -1,200円(40敗)
Seven Elementsのバックテスト結果では、17年間の長期間で12万円を超える利益を出しています。勝率は4割弱ですが、プロフィットファクターは1.22と健全な値です。最大ドローダウンは約1.5万円と抑えられており、最大連敗金額は-1,200円程度に収まっています。一勝当たりの利益が大きく、勝ち分が目立つのが特徴です。
バックテスト結果の分析
概要
Seven Elementsは17年間に及ぶ長期バックテストでも12万円超の利益を確保しており、ドル円取引に適した設計となっていると言えるでしょう。勝率は4割に満たないものの、大きな勝ちトレードが多いためにプロフィットファクターは1.22と健全な数値を示しています。また、最大ドローダウンが約1.5万円と抑えられている点も好印象です。
分析
バックテストを通して、このEAの魅力と課題がある程度見えてきました。まず魅力としては、長期間で安定した収支を確保できている点が挙げられます。また、一勝当たりの利益金額が大きめなので、ヒットした時の堅実な勝ちを期待できそうです。
一方で課題としては、勝率の低さが指摘できます。38%台の勝率は他のEAに比べるとやや低い部類に入ります。負ける確率が高いというリスクが付きまといます。そのため、損小確保のための stopや利確の設定がうまくできるかどうかが肝心です。
またバックテストは過去の実績であり、その後の市況の変化にも柔軟に対応できるかが問われます。
評価
Seven Elementsは複数のロジックを搭載しており、相場環境に合わせてロジックを切り替えられる付加価値はあります。ただし勝率面でやや不安が残る結果でした。結局のところ、使う人の手腕によってパフォーマンスが大きく変わってくるEAだと言えそうです。
まとめ
長期バックテストでの収支はプラスで健全なものの、勝率の低さが気になるEAでした。複合的なロジックを備えているためか、ヒットすればそれなりの利益が狙えそうですが、逆に負けても大きく喰らう可能性もあります。そのあたりのリスク対応が重要になってきそうです。優れたポテンシャルを秘めたEAですが、使い手次第で良し悪しが分かれる、まさに腕に頼るEAだと言えるでしょう。
フォワードテスト結果の分析
概要
Seven Elementsの最新フォワードテストの結果、1カ月の収益は89万円超、プロフィットファクターは1.93と良好でした。勝率は33%と低めですが、平均損失約7,400円に対し平均利益は約2.9万円と大きな一撃を見せています。最大ポジション数は3で運用され、最大の含み損失は37万円でしたが、全期間では75%の収益率を確保しています。
分析
このフォワードテスト結果を分析すると、このEAの長所と短所がはっきりと出ていると言えるでしょう。まず長所としては、勝った時の利益の大きさが挙げられます。勝率は低いものの、平均利益が平均損失の約4倍もあり、一発の大当たりを狙っていける設計となっています。
短所は相変わらず勝率の低さです。33%という勝率なら、3勝に対して7敗を喫する計算になります。大きな含み損を覚悟しなければならず、資金管理が非常に重要になってきます。高リスク高リターンの側面が強いEAだと言えそうです。
評価
フォワードテストでは1カ月で75%の収益率を確保しているため、高評価できる部分もあります。しかし最大37万円の含み損を出しており、リスク管理をしっかりと意識しなければならないでしょう。
このEAの特徴としては、「波乱万丈のパフォーマンス」が挙げられます。勝ちトレードでは大きな利益を上げられる半面、負けが続くと大きなマイナスになりがちです。そういう意味では腕に自信のある上級者向けのEAと言えるかもしれません。
まとめ
最新のリアルでは75%の高収益率を確保しているため、EAとしての実力は認められます。しかし、低勝率がリスクを伴う問題点もあり、腕に覚えのある人向けのEAだと評価できそうです。大ぶれを覚悟でき、資金運用も心得ているトレーダーならば、このEAの高リターンを狙える可能性があります。
総合すれば「腕に自身があるトレーダー向け」のEAだと言えそうです。期待できる実力はありますが、道半ばの腕前だと逆効果になる恐れがあります。
このEAの評価
Seven ElementsのEAは、複合的な7つのロジックを搭載しており、これによって様々な相場環境に対応できる柔軟さを備えています。リアル運用での実績も比較的良好で、勝率は低めながらも一勝当たりの利益が大きいというパフォーマンスを見せています。
このように一概にEイーかアブーかと言えるEAではなく、メリット・デメリットが交錯しているのが特徴と言えるでしょう。
まずメリット面では、バックテストでの長期的な収支が良好な点が挙げられます。長期間で続けてプラスの結果を残しており、一定の耐久性はあると評価できます。また複合ロジックを搭載していることで、相場環境に合わせてロジックの重要度を変更できるのも大きな利点です。固定的なロジックだと環境変化に対応しきれない懸念があるため、この融通の利く設計は高く評価できます。
一方でデメリット面としては、勝率の低さが目立つ点があります。リアル運用では33%と3割を切る勝率で、プロフィットファクターでカバーする必要がある状況です。負けの確率が高いため、リスク管理が重要になってきます。このEAを上手く使いこなすには、相応の腕と経験が求められそうです。
また、プロフィットファクターは高いものの、実際の勝ち金額と負け金額のブレが大きいと考えられます。グラフを見る限り一撃の勝ちと負けが大きく開いている様子がうかがえます。それだけに運用していく上での精神的ストレスもかかりそうです。
総合的に見て、Seven Elementsはパフォーマンスはあるものの、勝率の低さやリスクの大きさから、相応の運用スキルが求められるEAだと言えそうです。長期的にプラスを狙えるポテンシャルはあるものの、腕に自信のない人が使うと赤字に転落する可能性もあります。
私の評価としては、MT4自動売買EAとしては上位に入る実力はあると思いますが、「使いこなせる人が使わないと本当の力を発揮できない」という面もあると指摘したいと思います。大きな勝率はありませんから、安全運転を心がけつつも、タイミングを見計らって大きくプラスを狙う戦略が要求されるでしょう。
ある程度の運用経験と心構えがないと、いつの間にか大きな損失を出してしまう恐れがあります。相応の覚悟と準備が必要不可欠です。複雑な仕組みを搭載しているだけに、セミプロ以上のスキルがないと扱いこなせないかもしれません。
一方で、上手く使いこなせれば高い報酬が望めるEAであることは間違いありません。バックテストでの長期実績やリアル運用での高収益率に表れているように、そのポテンシャルは十分にあります。短期的には大きなブレもありますが、長期的に見れば収支はプラスに振れるはずです。相場の波に乗れるかどうかがカギを握ると言えるでしょう。
セオリーとしてはレベルの高い複合ロジックを搭載していますが、使う人の力量次第でその効果が発揮できるかどうかが分かれる点が、このEAの最大の特徴だと私は評価します。ハイリスクハイリターンな側面が色濃く出ているため、腕に不安がある人は避けた方が無難かと思われます。しかし腕に覚えのある人なら、この複雑なロジックから算出される着眼点を活かせば、大きな利益につながる可能性は十分にあると言えるでしょう。
リスク
Seven Elementsは勝率が低めのEAのため、大きな含み損が発生するリスクが高いと考えられます。実際のフォワードテストでも最大37万円の含み損を出しており、資金管理が極めて重要になります。また、ハイリスクハイリターンの設計上、心理的ストレスがかかる可能性も否定できません。
取引に際しては十分な証拠金と、ある程度の覚悟が必要不可欠です。勝率の低さから派生するリスクに加え、ロジックの複雑さから予測外のリスクが発生する可能性もあります。トレーダーの経験値次第で、扱いにくいEAになる恐れがあります。
このEAのロジックについて想像してみる
Seven Elementsは7つの異なるロジックを統合した複合型EAですが、そのロジックの詳細については公開されていません。しかし情報から推測できることはいくつかあります。
まず、順張りロジック4つと逆張りロジック3つを搭載している点から、トレンド相場とレンジ相場の両方に対応できるよう配慮されていると考えられます。トレンド時には順張りエントリーを主体に、レンジ時は逆張りでカウンターを狙うといったロジックが組み込まれているのではないでしょうか。
また、それぞれのロジックに重要度をつけられるようになっている点が特徴的です。これはスコアリングシステムを採用しているのかもしれません。各ロジックのシグナルを点数化し、トータルスコアを算出。そのスコアに応じてエントリーのタイミングや方向を判断するといったロジックが考えられます。
さらに、最大で3ポジションまで同時に持てる設計になっているのは、複数のロジックによるシグナルに対応するためではないかと推測されます。それぞれのロジックが異なるエントリーポイントを出した場合に、複数ポジションを構築できるようになっているのでしょう。
このように、相場環境や複数のシグナルに対して柔軟に対応できるよう、高度なロジックを搭載している可能性が高いEAだと考えられます。勝率は低めですが、一発の大当たりを期待できる設計となっているのかもしれません。
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