ブローカーによって異なるスプレッドはEA選びを難しくする
早朝にトレードするスキャルピングEAを使ったことのある人ならブローカーによってスプレッドがかなり違うということに気付いていると思います。MT4のバックテストは固定スプレッドを使用しているのですが、実際にブローカーが提供しているスプレッドは時間帯により大きな開きがあります。
ゴゴジャンが提供している「リアルタイム スプレッドグラフ」を見ればどのブローカーが何時ころにスプレッドを拡げてくるのかということが一目瞭然です。
上のグラフを見ると5月23日から5月24にかけての各社のスプレッドの推移がわかります。特徴的なのは午前6時をピークに各社が一斉にスプレッドを拡げているということです。ゲインキャピタルは少し早めに拡げ始めていますがピークはやはり6時前後になっています。
なぜ6時になると各社が一斉にスプレッドを拡げるのかというとスプレッドを拡げないとスキャルピングEAに好き放題にやられてしまうからです(^^;)
もしこの時間帯のドル円のスプレッドが1.0pipsの固定値だとしたら逆張りのスキャルピングEAで簡単に勝つことが出来ます。極端な話ボリンジャーバンドの逆張りだけでも勝ててしまうかもしれません(笑)
というわけで最も逆張りスキャルピングが機能する6時台のスプレッドを拡げているわけなのです。
こうしたブローカーの防御策に対抗するためにはこの時間帯以外にトレードするEAを使うか、スプレッドが拡がっても勝てるEAを探すしかありません。EA選びはスプレッドとの戦いでもあるわけなのです。
ストラテジテスターリポートの期待利得を見ればスプレッド耐性がわかる
MT4をバックテストするともれなくストラテジーテスターリポートを見ることが出来ます。ストラテジテスターリポートには数多くの項目があるのですが、スプレッド耐性を知りたい場合は「期待利得」という項目をチェックすることをお勧めします。
【期待利得とは】
利得の算術的期待値です。統計的に計算されるこのパラメータは1つの取引の平均利益/損失を表わします。それは次の取引の予想収益性/非収益性を示すものとみなすこともできます。
期待利得をチェックすれば1トレード当たりの平均利益を知ることが出来ます。もし期待利得がスプレッドよりも小さい場合はそのEAには期待しない方が良いでしょう。
スキャルピングEAの期待利得はのでスプレッドに左右されやすいEAが多いのですが、トレンド系スイングトレードEAの場合は期待利得が大きいのでスプレッドの拡大に関しては寛容です。
例えば複数のトレンド系すロジックを搭載したマルチロールGJ1_TypeAの場合、スプレッド3pipsのバックテストでの期待利得は21.47ドルもあります。
これだけ期待利得が大きければスプレッドが10pipsに広がったとしても利益を確保することが出来ます。
さすがにスプレッド20pipsになると収益曲線も上がったり下がったりしてしまいますが、最終的な収益ではマイナスにはなっていません。
トレンド系のロジックを採用したEAはスプレッドに対する耐性が高いので、スキャルピングEAに比べてブローカー選びに苦労することは少なくなります。もちろんいくらスプレッド耐性が高いといっても狭いスプレッドのブローカーを選んだ方が有利であることは言うまでもありませんが。
スキャルピングEAはトレード時間帯が重要
「リアルタイム スプレッドグラフ」を見るとわかるように午前6時台を主戦場とするスキャルピングEAは、期待利得がよほど高いものでないと勝負になりません。実際にはアジア時間のスキャルピングという手法は値幅を稼ぐことが難しいのでこの時間帯に勝てるEAを見つけるのは難しいかもしれません。
MT4でのバックテストではスプレッドが固定されてしまうので見極めることは非常に困難です。6時台にトレードするEAが欲しくなったら期待利得をチェックしてどのくらいまでのスプレッドに耐えられるのかを気にしておいた方がいいでしょう。
リアルタイム スプレッドグラフでは最低スプレッドも表示されるのですが、外為ファイネストなどはかなり低い数値を提示していることがあります。
各社考え方は様々なのでしょうが、このような会社ごとの最低スプレッドの違いをうまく狙っていけば6時台のスキャルピングEAでも勝てる可能性が高くなるのかもしれません。
一方で6時台にトレードをしないスキャルピングEAであれば期待利得のハードルはかなり低くなります。平常時のドル円のスプレッドは1pips程度の会社が多いので、期待利得が1万通貨取引で2ドル以上のEAなら大丈夫そうですね。
ブローカー選びが重要なスキャルピングEA、ブローカーを選ばないトレンド系スイングトレードEA
スプレッドが固定ならば悩みも少ないのでしょうが、ブローカーから提供されるスプレッドは時間帯や相場状況によって常に変動しています。MT4のバックテストではスプレッドの変動を再現できないので、スプレッドに左右されやすいスキャルピングEAを使う場合はブローカー選びをしっかりとすることが重要です。
以前スプレッドを記録するインジケーター使ったことがありますが、このようなツールを使って実際にスプレッドを記録してみるのが一番いいのではないかと思います。以下のリンク先で配布されているspread_recorder.mq4というインジケーターもスプレッドを記録できそうですね。
記録したスプレッドと期待利得を見比べてこのブローカーで稼働させるべきかどうかの判断材料にするということは、スキャルピングEAを使用する過程で重要なことなのではないかと思います。
トレンド系スイングトレードEAの場合は期待利得が大きくスプレッド耐性が高いので、ブローカー選びにさほど神経質になる必要はないと思います。特に4時間足、日足など大きな時間足を採用しているEAの期待利得は大きいのスプレッドに対していい意味で鈍感です。
とは言うもののスプレッドが拡がると利益が減ってしまうわけなので出来るだけ狭いブローカを探した方がベターです。
ここまでいろいろと書いてきたのですが、スキャルピングEA、トレンド系スイングトレードEAともにスプレッドは狭ければ狭い方が良いというのが結論です(笑)
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